中村不二夫の14篇の詩はいずれも人間に対しての限りなき(やさしさ)にあふれていると同時に、逃れようのないこの困難な人生の個々の深い(孤独感)を描き切ったもので感銘を受けました。毎日、一見平穏な日常を送っていているようにみえても、個々に辛い試練を受けていたり、きびしい運命が潜んでいることを不安に感じたりしているのが現実でしょう。でも、この詩のなかの数々の言葉に癒され、励まされ、力づけられたこと、とても有り難く思いました。
私が特に感動したのは(やさしい手)です。神の存在は今の私にとってまだ疑問なところがありますが、人間の背後にはその存在が確かにあるのでは、とこの詩は無理なく自然に信じさせてくれる力がありました。最初の(車中にて)も、さりげない心の動きが東北の風景のなかで淡々と語られていて、良かった。
ネットで詩を映像や音楽とともに読むのは勿論初めてでしたが、本を開いて読むより確かに、特に詩という文学には向いている感じを受けました。詩は感性でとらえる部分が多いですから、映像や音楽はあった方が良いと思いました。(鮒田純子・声楽家)