溪はなにが飛び出すかわからない書物だ
そうだったんだ。中上さん、歩く速度で詩を書いていたんだ。散歩するような自然体で、ときに千鳥足で。川や池やバーやバスルームなんかの水の近くを釣具と弁当と歳時記をもって、とびっきり生きのいい言葉をさがしまわっていたんだ。枯葉の匂いと熱いコーヒーとアイオワの風 ……、僕たちは帰りに、魚籠を木苺でいっぱいにするだろう。町の騒音のような映像と音楽は悪くない、ユーモラスなイラストも。
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   『歌と彷徨 1 』
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