詩作品自体が大切であることは当然ですが、それが映像や音楽、そして朗読の力によって、作品の持つ力を引き出すことができる、その面白さがありますね。
そういう意味で、坂多さんの作品は、とてもぴったりだと思いました。非常に日常的なものから入りながら、不思議な世界に連れて行かれる、日常の裂け目、亀裂というか、そういう中にすとんと落とし込まれる驚きとスリルがあります。
日常といっても、そこには暮らしの手触りがあって、大体において庭や台所やベランダくらいの空間で、そこからの異次元なので、単なる空想物語ではなく身近。食べ物もよく出てきますし、最初のミルクパーパ(ヌガー)やニッキ、そして美味しそうなコロッケなど、現実のものではない場合でもいかにもありそうで、舌が味覚を感じます。
映像も音楽も、そして原田さんの朗読もそれぞれ素晴らしく、驚きました。