個人的には「西空」がとても好きです。
ひんやりした海の底に流れるノスタルジックな時間はやわらかくてとても静かで美しいですねぇ。何度も繰り返し、聴いたり観たりしてしまいました。電子詩集ならではシンプルな映像と音がとても合っていて水の中でゆらゆら揺れるような浮遊感が体感できる感じ。観ていても聴いていてもとても心地よい。
今回初めて電子詩集を読みました。見るまでは単純に紙媒体をデジタルにそのまま移行したものだと思っていたので、“言葉と映像と音”で構成されているのにびっくり。いままでの詩集とは“全く別のもの”というのが正直な感想ですね。“詩を読む”というよりは“映画や演劇を観たり、音楽を聴く”という感覚に近いような……。電子詩集のほうが映像や音など伝える素材が多い分、書き手のイメージする世界に近いのかなぁ。詩(言葉)を邪魔しないように音や画を配置するのってけっこう難しいような気もするんだけど、一編一編の朗読された詩にさりげなく映像や音が重なると、それらが程よい仕掛けになって、こんな風に面白くなるんですね。