深夜の雨は
眠りをむさぼる薬と
どこかで溶けあっている
(「子犬は雨がさらっていった」より)
長い間、私は岡三沙子さんを、「屍」の詩人と思っていた。彼女は東北人らしく粘り強い気性の持ち主で、しっかり者だ。それから、なんでもやってやろうとする積極的な行動力、意思の強い性格ではないかと、私には思えた。その基本に、へそ曲がりの詩魂がある。詩集を読んでそう認識した。
(金子秀夫・解説より)
岡さんは詩人に多いロマンティストではなく、この世界の不条理を冷徹に記述するライターの眼差しを内に秘めたリアリストの詩人だ。岡三沙子さんの経歴を読んでいると、人生の節目を自らの強い意志で選び取ってきたことが分かる。その意志力の背景には、一人の人間が自己実現のために努力を惜しまない主体性の力強さを感ずる。
(鈴木比佐雄・解説より)
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