水
流れている
せせらぎで
大河で
海で
私の中で
(「水に」より)
その作品を成り立たせている背後の空間は深く大きい。生きてあること、存在を存在として支えている闇、目に見えないその時空に目を凝らし、呼びかける想像力がこの詩集の最上の部分を生みだしているのだ。
(水野るり子・解説より)
作者の、人間としての生涯における〈夢の屈折〉に耐える「芯」の強さは、爽やかな弾力を備えている。詩人は、自然の樹木、その「陰」、「香り」、それらに触発される幸いな〈創生〉の時を幾度も経験している。
(島 朝夫・解説より)
ここまでくれば、馬場晴世の「ライオン」の正体ははっきりしてきたと思う。童心に隠されていて、自覚的な詩人を除いて、いつしか消えてしまうもの。つまり、詩を書く精神のようなものだ。
(中上哲夫・解説より)
詩人馬場晴世は率直のひとである。自分の心に響いたことには脇目も振らずに進む。少女のひたむきさを持った“誠”の詩人である。そして困難な日常をも乗り越えて、ひたすら学び、旅し、自分の眼で、しかと確かめて多くの識見と生来の優しさで詩って来た。
(久宗睦子・解説より)
馬場詩学の特徴は、飽食/飢餓、刹那/永遠、顕在/潜在、享楽/禁欲、現世/来世、人口/自然、我欲/無欲、幸福/不幸の二つのカードを前に、つねに後者に視座を定め、ヒューマニズム溢れる固有の詩的時間を作り出していった。
(中村不二夫・解説より)
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