たえまなくおまえは
鍬をにぎって土地を耕す農夫だった
おまえのふりおろす鍬の刃先は
必ず俺を血まみれに空の中へたおした
(「農夫」より)
このたび、鈴木孝の作品を最初期からまとめて読む機会を得たが、誤解を恐れずにいうなら、すべては『泥の光』に流れ込むようにできているのではなかろうか。(中略)『泥の光』は真に驚くべき詩集である。まずその長さが半端ではない。二段組の本書で七十ページちかくもあり、それでも抄出だ。エクリチュールへと向けられた主体のなみなみならぬエネルギー、あるいはその強靭な意志のようなものを感じる。
(野村喜和夫・解説より)
鈴木孝さんの詩作品の特異性は、自由連想法の告白・叫喚に近いタイプである。朗読詩にはもってこいの展開があり、映像詩の朗読にも向いている。力わざがあり、具象性から選び出した劇的な言語群に満ちている。これでもか、これでもかと、高波のように押寄せてくる。死霊と死骸が印象的に使用されている。目で追う活字よりも、音楽と照明を操作しての朗読のおもしろさを演出すれば、いちだんとすぐれたものになるだろう。
(長谷川龍生・解説より)
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