練達な文体が魅力の詩的評伝。
西田朋はまるで天の啓示にうたれたかのように、堀口大學が愛弟子鈴木梅子に贈った「こけし」(白石市「ホワイトキューブ」前庭)の詩碑に相見する。それからは寝食を忘れて、大學と梅子を繋ぐ師弟愛の本質に迫るべく、つよい使命感をもって関係者への取材、関連資料の掘り起こしに没頭する。本著は豪商の家に嫁ぎ、苦難の戦時下を経て戦後へ、数奇な生涯を送った詩人の全体像を余すことなく描き出した屈指の詩人論である。近代女性史をも兼ねた一級資料。(中村不二夫)
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