戦争。抑留。戦後。三つの時代を貫く極限の叙情!
それにしても、大貫喜也さんはこのような非情な運命を、ヨブのように、よくぞ生き抜いてきたと、今、老後を穏やかに生きるあの温顔に感動するのである。繰り返せば、『大貫喜也全詩集』の中で際立つ絶唱「白い螺旋と僕」において深く描ききった根源的な人間観、自己の卑小をわきまえ、不甲斐なさと罪深さを自覚し、運命を生きること、そのフィロソフィーに立ったからこそ、彼は過酷な運命を生き抜くことが出来たのではないかと、私は信じている。
(石原武・解説より)
[収録内容]
詩集『黒龍江附近』/『愛と化身』/『眼・ ア ンダル』/『幽愁原野』/『死ヘの遊牧』/『小銃 と花』/『年賀の中の十二支』/『北の街』/『黄砂蘇生』/『宙を飛んだ母』/慶弔の詩/未刊詩篇/解説/自筆年譜/解題・初出一覧
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